黒いワンピースの女との出会い!

黒いワンピースを来た女がカフェの隅っこにいた。真夏の東京はむせかえす暑さだ。その暑さの中で黒を着るということは趣味なのだろか。葬式の帰りではない。エアコンの風を避けるかのごとくカフェの隅に座っている。

その女性は30歳から34歳ぐらいの女性で左手には薬指は寂しそうにしている。ワンピースのすそから出ている足はカモシカの足と表現するには細すぎず、モデルの脚と比較しても遜色のないものだった。

その女性はカバンからパソコンを取り出すと一生懸命にタイピングをしている。顔は真剣そのもので時折眉間にシワを寄せてパソコンの画面を真剣にみている。カフェにやってくるのはいつも8時30分で11時までは真剣にパソコンに向き合っている。11時になるといつも決まって、「ちょっと、ランチ」と言って今日の特別ランチを注文する。食べ終わってから、コーヒーを飲みながらマルボロに火をつけるのだ。

その女性は決まって私を呼びつけて、水のお代わりを注文するのである。そんな日々が続くのだ。マスターの話によると私が休みの日には「あれ、いつもの僕はお休みなの」と聞いてくるのだそうだ。

マスターからは「お前、ロックオンだぞ」と冷やかされていたが、美しき年上の女性には憧れがあった。大人の女性と学生のバイトとの真剣恋愛があるはずもないと思っていた。

ある日のこと、黒の朝のワンピースを着てきた女性は、機嫌が悪かった。

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